Izhikevichモデル [1]は2003年に提案された,神経細胞の数理モデルです.
LIFモデルよりも生物学的に妥当性があるモデルで,なおかつHodgkin-Huxleyモデルよりも計算が効率的です.
式の細かな解説は省略しますが,Izhikevichモデルは$(a, b, c, d)$の4つのパラメータと,$(v, t, u, I)$の4変数から成り立ちます.
$$\frac{dv}{dt}=0.04v^2 + 5v + 140 - u + I$$ $$\frac{du}{dt}=a(bv-u)$$ $${\rm if}\ \ v >= 30, {\rm then}\ \ v\leftarrow c,\ u\leftarrow u+d$$
$v$が膜電位,$u$がrecovery variable(回復変数),$I$が入力電流,$t$は時間です.
パラメータはそれぞれ,$a$は$u$のスケーリング係数,$b$は$v$に対する$u$の感受性,$c$は静止膜電位,$d$は$v$が発火した後,落ち着くまでの時間に影響するパラメータです.
よく使われるパラメータの組み合わせを以下の表にまとめます.
$a$ | $b$ | $c$ | $d$ | 概要 |
---|---|---|---|---|
0.02 | 0.2 | −65 | 2~8 | Regular Spiking (RS): 論文内だと$d=2$だが,$d=8$くらいが観察しやすいと思う. |
0.1 | 0.2 | −65 | 2 | Fast Spiking (FS) |
0.02 | 0.2 | −50 | 2 | Chattering Cell (CH): 定常電流を流すと短時間にたくさん発火するバースト(多重発火)が見られる (例: $I_{DC}=10$) |
0.02 | 0.25 | −65 | 2 | Low Threshold Spiking (LTS): 抑制性電流を流し終えたあとに反動で発火する |
0.02 | 0.2 | −55 | 4 | Intrinsically Bursting (IB) |
0.2 | 2 | −56 | -16 | Chaos (要$I_{DC}=-99$ [2]) |
早速動かしてみましょう.(PC/タブレット推奨)
以下のパラメータや入力電流を定めて,[Compute!]ボタンを押すと計算し描画してくれます.
なお入力電流を複数混ぜる時は,左のチェックボックスを必ず1つ以上チェックしてください! (チェックしないとなにもおこりません.)
結果はChromeであれば右クリックで画像として保存も可能です.
このページは,バックエンド処理をPython (Flask/NumPy),フロント処理はHTML/CSS + Javascriptで行っています.
時間分解能は$dt=2^{-5}$msで計算していますが,描画時には$dt=2^{-1}=0.5$msに精度を落としています.
この際,どうしても発火時の膜電位上限値にばらつきが出てしまうため,急勾配時($\Delta v<-10$)の膜電位を補正をすることで見た目を整えています.
もしかしたら設定によっては発火時の膜電位値が不均一になるかもしれません,ご了承ください.
(1) SPINE Web (姉妹ページでIF/LIFモデルのシミュレーションはこっち)
(2) HiroshiARAKI (作者のホームページ)
(3) HIRO LAB BLOG. (作者のブログ)
(4) Qiita - arakiii (SNN系の記事はQiitaにまとめています)
[1] Simple Model of Spiking Neurons, M. Izhikevich, 2003
もし,不具合等ありましたら下記よりご連絡いただければ幸いです.
→ araki [at] hirlab.net
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